皇籍離脱一時金 資料貴人の黄昏― 旧皇族家の人々 ―

11宮家が皇籍を離脱した際に一時金が支給された。下記資料は支給額が「皇室経済会議(1947年10月13日)」で決まる前の「参議院 皇室経済法施行法案特別委員会(1947年9月17日)」における審議記録である。



参議院 皇室経済法施行法案特別委員会 皇室経済法施行法案特別委員会

第001回国会 皇室経済法施行法案特別委員会 第4号 付託事件
○皇室經濟法施行法案(内閣提出、衆議院送付)
○日本國憲法第八條の規定による議決案(内閣提出、衆議院送付)
   ―――――――――――――
昭和二十二年九月十七日(水曜日)午前十時二十九分開會
   ―――――――――――――

(略)

○河井彌八君 豫備審査のときに、國民籍に入られる皇族に御下賜金がある。その御下賜金の割振り等について伺つたのであります。更に私はそれを伺つた理由は、皇族たる身分を離れられた後に、生活上或いは社會上、いろいろな點から非常に變化が來るのでありまするから、先づ以つてお暮し等に段々差支が來やしないか、そうすれば皇族たりし時の國民の尊敬を裏切るので、或いは從つて又皇室に對して患いが自然生ずる虞れがあるのではないかということを心配いたしまして、その點をお伺いしたのであります。更に引續きまして、御銘々のお家においてすでに持つていらつしやる財産、それから今度皇族の身分を離れられるについて賜わるところの賜金、それの總計、一體どの位な資産をお持ちになるであろうかということを伺いたいのであります。各皇族についてお示しを願うことができれば結構でありますが、併し最高どのくらい或いは最低どのくらい、そうして御家族はどのくらいであるかというような點は、せめてお示しを願いたいと思いますが、如何でございましようか。

○政府委員(加藤進君) 皇族の席を離れる方につきましての各宮がお受取りになるべき額は只今申上げます。それから現在お持ちになつておる財産状況につきましては、これはなかなか評價もしにくく、又正確には申上げにくいのでございまするから、財産税を納付せられました時の財産状況につきまして申上げて置きたいと思います。

○政府委員(塚越虎男君) 只今加藤政府委員からのお答えいたしました點について、財産税納付當時の財産税額、それに対しまして納められた財産税額、結局その差引きというものが財産税を納められる當時持つておられた納付後の御財産ということになるのであります。この財産税額につきましては、財産税法の規定によりまして、昭和二十一年の三月三日現在ということになつております。その際における各皇族方のお持ちになられました御財産を財産税の課税評價基準によりまして御申告を願つたわけでありますが、その數字を各宮家別に申上げます。便宜上千圓單位といたしまして申上げます。閑院宮樣が五百六十八萬一千圓、東伏見宮樣が、百九十一萬五千圓、伏見宮樣が七百九十二萬圓、山階宮樣が百五十四萬三千圓、賀陽宮樣が百七十四萬圓、久邇宮樣が七百四萬八千圓、京都の久邇宮樣が十八萬六千圓、それから朝香宮樣が千六十七萬九千圓、梨本宮樣が三百六十八萬六千圓、東久邇宮樣が三百三十一萬圓、北白川宮樣が八百四十三萬八千圓、竹田宮樣が六百二十二萬一千圓ということになつております。實はこれに對する財産税額を引きまして殘りの金額を申上ぐればいいのでございますが、ちよつとその計算が出ておりませんので、便宜財産税額を申上げます。これに對しまする財産税額を申上げますれば、閑院宮樣が四百十九萬五千圓、東伏見宮樣が百二十萬二千圓、伏見宮樣が六百九萬八千圓、山階宮樣が九十二萬三千圓、賀陽宮樣が百七萬一千圓、久邇宮樣が五百三十五萬二千圓、京都久邇宮樣が三萬四千圓、朝香宮樣が八百四十四萬三千圓、梨本宮樣が二百五十六萬五千圓、東久邇宮樣が二百二十六萬四千圓、北白川宮樣が六百五十三萬八千圓、竹田宮樣が四百六十五萬四千圓ということになつております。從つてその差引額が財産税課税後の御財産額ということになつております。その後現在までに多少の勿論異動はおありになつたことと思いますが、それに今度の皇族の身分を御離脱になる際の一時金でございますが、これは一應現在追加豫算として政府の方へ要求しておる金額でございます。
  御承知のように皇室經濟法によりまするというと、基準額の十五倍以内におきまして皇室經濟會議が決めるということになつております。從つて皇室經濟會議の議を經た後でございませんというと、各宮家別の一時金の金額というものは確定いたさないわけでございますが、一應現在政府の方へ追加豫算案として要求しております金額を申上げます。これはこの前の豫備審査の際にも申上げたと思いますが、大體皇室經濟法施行法の規定に依りまして基準額というものは二十萬圓ということになりました。これは既婚の親王の定額であります。いろいろ皇室經濟法の規定によりましてこの定額に對して親王妃ならば幾ら、王ならば幾ら、王妃ならば幾らというようないろいろな細かい規定がございます。例えば王はその十分の七ということになつておりますので、從つて十四萬圓というのが年金としての基準でございます。それから尚皇室經濟法におきましては皇族の列をお離れになつた際に一時金につきましては未成年の御方、或いは未婚で御方はこれを既婚又は成年とみなすというような規定がございます。そういうようないろいろの規定を適用いたしまして、大體御當主につきましては一一・二五倍、それからその他の方については七・五倍ということを基準にいたしまして計算をいたした金額を各宮家別に政府の方に要求をいたしておるのでありますが、その金額を申上げます。先程宮家の順序が多少不同に申上げたのでありますが、その順序の從つて申上げますというと、閑院宮樣が御二方で二百十萬圓、東伏見宮樣が御一方で百十二萬五千圓、伏見宮樣が御四方で三百十五萬圓、山階宮樣が御一方で百五十七萬五千圓、賀陽宮樣が御八方で八百四十萬圓、久邇宮樣が御十一方で八百四十萬圓、梨本宮樣が御二方で二百十萬圓、朝香宮樣が御六万で五百二十五萬圓、東久邇宮樣が御七万で六百七十五萬圓、北白川宮樣が御四方三百三十七萬五千圓、竹田宮樣が御六万で五百二十五萬圓ということになつております。尚京都の久邇宮樣は只今申上げました久邇宮樣の分の中に含んでおります。もう一度重ねて申上げますが、豫算要求の際の算出の金額でございますが、實際においては皇室經濟會議等の議によりまして變更があるかも知れないということを申し上げて置きます(略)

    午前十一時三十一分散會

(略)
inserted by FC2 system